自転車に乗ることに楽しさを感じなくなったら?




自転車に乗ることは楽しい。そう思った20歳の頃、僕は自転車競技者になるために単身でオーストラリアへ渡った。

自転車に乗ることが楽しくない。オーストラリアから帰ってきた22歳の頃の僕は、そう思った。

 

この2年間でおきた心の変化は大きく、いつも帰宅後は軽く磨き終えてから自分の部屋にオブジェのように飾っていたロードバイクに、布をかぶせて二度と見たくないと言わんばかりに拒絶反応を示していた。そんなことを思い出した質問が、質問箱に届いた。

 

もし自転車に乗りたくなくなったら?

 

質問箱の使い方もわからないまま始めた質問箱。送られてきた質問の閲覧方法を、この記事を書く直前ぐらいに知ったくらいだ。

 

今回こちらの記事で書こうと思っている質問以外にも、いくつかの質問が送られていた。現在、簡単に回答できるものはツイッター上で回答し、いまだ残っている質問も回答しないといけないなと思っているところではあるが、どうしてもこの質問が心に引っかかるので記事にしたいと思った。

 

 

すでにこの質問に対する個人的な見解は、ツイッター上にて述べているのだが、こうした類の質問はウェブ上だけでなく個人的にも相談されることが多いので、少しだけそこについて触れてみたいと思う。

 

なんで自転車に乗りたくなくなるのか?

 

こうした方の悩みを聞いてみると、大きく分けると二つのケースに分けられた。※伊藤個人のカウンセリングでの集計結果

 

  1. 自転車に乗ることで膝や腰などカラダの痛みを発して乗りたくなくなるケース
  2. レースなどで成績を求める中で結果が出なくて乗りたくなくなるケース

 

この二つだ。それらについて悩んでいる方に対し、コーチおよびトレーナーとしての目線から少しだけアドバイスを書いてみようと思う。万人に当てはまるわけではないと思うが、少し思うことがあるのならば試して欲しい。

 

【カラダの痛みが邪魔をして乗るのを諦めてしまうというケース】

この場合は、ポジションが出ていないこと、またはカラダをうまく使えていないケースが考えられるので、身体的構造を熟知しているフィッターによるフィッティングを受講頂くか、カラダの動かし方の習得や柔軟性・筋力を向上させてくれるトレーニングを優先的に実施してから乗ることをお勧めする。

 

ポジションが出ていないケースの場合は、フィッティング後にしばらくしたら改善されるケースもあるが、そうでなくカラダに根本的な原因がある場合はしばらく自転車に乗ることをやめないといけないケースも考えられる。ただし、もう一度楽しんで自転車に乗ることを考えるためには、通らなくてはいけない道だと考えるので、少し我慢しよう。どれぐらい我慢するかは、指導者または医療従事者の指示に従うのが一番だと考える。

 

【パフォーマンスをあげたいのにあげれないケース】

この場合は、自身のプラトーに苛立ちを覚えているケースが多いだろう。何をしても現状打破できない現実が嫌になり、自転車に乗ることが楽しくなくなるというケースが考えられる。おそらくレースに参加されている人の多くは、こういう状態を経験している方も多いと考えられる。また、今回質問箱に投稿された方はこちらのケースではないかという印象を受けた。

 

ツイッター上での回答は、精神的にもう一度自転車に乗ろうという気持ちを思い出すための方法である。それが有効な場合は非常に多いが、レースで成績をおさめたいと考えた時には別の方法でやる気を引き出さなければ根本的な部分(フィットネスの向上など)が解決できない場合もある。ということで、別の方法でやる気を出す方法を少しだけお伝えしたい。

 

トレーニングをしながらやる気を出す方法

 

基本的に、トレーニングに関するモチベーションを高める方法は「小さな成功体験をいくつ積み上げることができるか」ということと「自ら挑戦することに意欲が湧くか」の二つが重要だと考える。

例えば、決められたメニューを実行する場合において「先週は5本しか出来なかったインターバルが6本できるようになった!」というのが前者の方法、また、「先週は300wで5本できたら、今日は4-5本目を310wで実施しよう」ということである。

トレーニング意欲が湧かない人の特徴を見てみると、共通してこうした心理的状況にならないケースが多い。その場合はトレーニングメニューなどを見直して、自分自身がメニューを達成できるようにリードする方法があるので、少しだけそれに触れようと思う。

 

① トレーニングの方法を変えてみる

例えば、1分(高強度)+2分(休息)のインターバルを8本繰り返すメニューを実施する場合、5本目までは指定強度で行うことができるが、いつもそれ以降の6本目から実施できずにストレスを感じる場合は、1分の強度を変えることなく1分(高強度)+3分(休息)に変更してみること。すると8本目まで繰り返すできる確率は高くなると考えれるので、トレーニングに対する意欲が湧く。もちろん、目的目標を達成するために必要と考えられる、正確な1分の運動強度で実施できていうことを前提に考えての話だが、こうした方法でトレーニングの達成率をあげる。

 

②トレーニングの種類を変えてみる

また、①を実施したとしてもいつまでもクリアできない場合は、トレーニングの種類を変えてみることをお勧めする。例えば、1分の運動時間を30秒として、30秒(高強度)+1分(休息)にして8本繰り返してみよう。もちろんそれに合わせて1分よりも30秒の絶対的強度は高くなるので、もちろん強度をあげた状態で挑む必要があるが、これによってトレーニングが達成できる可能性もあるので、試してみよう。

 

これらに関しては近いことが以下の記事に書いてあるので、興味のある方はどうぞご覧あれ。

多分これが一番足りてないと思います。

 

伝えたように、万人に当てはまるわけではないし、説明したのは一部の方法なのであるので、本当にどうにもならないときが相談してください。

 

楽しく自転車に乗るために…

 

人それぞれ、様々な状況により自転車に乗りたくないという心理状況に陥るケースがあるのは確かである。例えそうなったとしても、個人的には肉体的傷害のない場合は乗って欲しいと感じる。

 

ツイッターの回答にも書いたように、パワーや心拍数などのトレーニング的指標にとらわれることなく、メーターを捨てて、雲や風の流れに身を任せて、自由に、思うがままに自転車に乗って欲しい。その時は食べ物を制限することもなく好きなものを好きなだけ食べて欲しい。そして無事に家に帰ったら、あー疲れた、と全身の疲労感を感じながら寝落ちするほどに自転車の乗り回して欲しい。

 

僕は一人でそうしてサイクリングをするのが、心から好きだ。今は自転車に乗れるだけで幸せで、そうして冒険することが、旅ができることが楽しみである。レースをするもの楽しい。ただ、少年のような心を忘れて勝ち負けやパフォーマンスのみに執着しないように、自転車本来の楽しみ方を、もう一度思い出してからそれに挑んで欲しいな、と感じる。

 

本当に、個人的な意見だけど…参考までに、どうぞ。

 

お読みいただき、ありがとうございました。

 

 

 

 

僕が再び自転車に乗り出した理由

 

一番最初の話の続きを、少しだけ。

 

帰国後、自分の未来が見えなくなった僕はインターネットサーフィンを繰り返す日々で、将来何をしたいと考えることもなく部屋に引きこもっていたのだが、そんな時に1通のメールが届いた。

 

「日本に帰ってきたよ。」それはオーストラリアで仲良くなった唯一の日本人と言ってもいいほどの友人からであった。

 

オーストラリアでロードバイクに興味を持っていた彼に「この自転車を買うといい」と自転車店とロードバイクを案内し、紹介した責任からか僕の知っているトレーニングルートを紹介して一緒にサイクリングをしたこともあった。

 

マンリービーチからシティへ向かう間のモスマンという超高級住宅街のハーバーでサイクルウエアのままダイブしてゆでダコになったこと、テリーヒルズからウエストヘッドへと続く蒼い森を抜けて、シティを眺めることができた丘、個人的に食べたくなったトッポキのためだけに命をかけてトラックと戦いながら向かったストラスフィールドなど…そのほかにも色んな思い出があった。当時、練習に疲れ切っていた僕の心を癒してくれるほど、どれも楽しいサイクリングとなった。

 

そんな彼が日本に一時帰国して、ジャイアントのグレートジャーニーを購入した。そして、当時の僕の現状を知ってかしらずか東京から名古屋まで国道一号線を辿って会いに来ることになった。

 

そんな彼が送り続けてくれた旅のメールの一報に、僕も昔はこんな気持ちでサイクリングをしていたんだな、と楽しさを思い出させてくれた。気づいたら僕は自転車に被せていた布を捨て、箱の中に詰め込んだ工具を取り出して調整し、名古屋駅までゆっくりと自転車をこぎ始めて彼を迎えに行った。

 

疲れた彼と矢場とんを食べてから温泉に浸り、道中の話を聞いた。僕が学生時代に東京から名古屋まで自転車で行き帰りしていた記憶を重ねながら聞いた彼は、今まさにその時の僕であった。箱根の旅館に宿泊するのであろうカップルたちを横目に重たい荷物を背負って駆け上がった箱根峠、箱根を下る坂から見える輝く太平洋、トラックばかりが通る国道1号線など…様々な記憶が鮮明に蘇る。そして思い出した自転車の楽しさ。

 

彼に自転車の楽しさを教えたはずの僕がそれを忘れ、反対に僕が彼に自転車の楽しさをもう一度思い出させられた。その楽しさを共有し、本当は自転車ってこんなに面白かったんだなと思ったその時、「自転車文化の普及発展」を掲げて生きていこうと思い、今に至った。

 

…色々と話すと長くなるので個人的な話はここまで。

 

最後に。

 

きっとこれを読んでくださった方一人一人の自転車に、忘れているだけで必ず自転車にまつわる成功体験や楽しみがあるはずだ。自転車に乗るのが嫌になったら、そうしたことを思い出して欲しいな。

 

もしそれでも思い出せないなら、僕と一緒に自転車に乗りに行こう。僕の好きな道だけど、それでよければいろんな道を案内するよ。




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