Joint by Joint Approachという考え方から自転車に必要なトレーニングを考える

エクササイズや競技における各種動作を指導する場合、(目的目標に則って)正しく動けているかそうでないかをヒトのカラダの動きがどのように動くのか、ということを考えながら指導します。

 

そうして指導する中で、ヒトの動きを見ていく時に、現段階で個人的に支持している「Joint By Joint Approach」という理論について説明したいと思います。

 

Joint By Joint Approachの考え方

このJoint By Joint Approachは、アメリカのMicheal BoyleというS&Cコーチがこの理論を提唱していました(リンクはこちら)。

 

これの理論は「ヒトの関節は大きな動きをするのに適している関節(モビリティ/Mobility)と、大きな動きをサポートするために安定させる関節(スタビリティ/Stability)が交互にあり、モビリティ関節が力を発揮するためには、隣り合わせになっているスタビリティ関節がその機能を果たしていないといけない」というものです(ファンクショナルトレーニングの提唱者の一人、Gary W.Grayは「mostability(モスタビリティ)」という言葉を作っていました)。

 

実際の関節の動きを一部解説すると、以下のように分類されます。

 

  • Ankle(足関節)…Mobility (sagittal)
  • Knee(膝関節)…Stability
  • Hip(股関節)…Mobility (multi-planar)
  • Lumbar Spine(腰椎)…Stability
  • Thoracic Spine(胸椎)–Mobility
  • Scapula(肩甲帯)–Stability
  • Gleno humeral(肩関節)–Mobility

 

例えば、腰椎が安定していない場合は、股関節はうまく機能せず、本来の力を発揮することができなくなることがあります。反対に、股関節がうまく機能しない場合は、腰椎が股関節の動き(屈曲・伸展など)の代わりをしようとして、腰を痛める可能性が出てきます(これを代償動作といいます)。これは三面性(矢状面、前額面、水平面)での動きの中ででも矢状面(カラダの動きを真横から見た動き)での動きを捉えたものです。

 

今回は、この矢状面でのJoint By Joint Approachを理解しやすいように、ペダリングやエアロフォームから考えたいと思います。

 

ペダリングで考える

ペダリングでは主に、腰椎-骨盤・股関節・膝関節・足関節が機能します。こちらではペダリングの中でも上死点にフォーカスして、例を上げていきます。

 

トレーニング指導やフィッティングをしている最中によくあるのは、上死点に足を引き上げる場合に、うまく股関節の屈曲ができないため、腰が丸まって(腰椎-骨盤が屈曲して)しまうことがあります。この場合は、腰椎-骨盤をニュートラルに保っておくための筋力が弱いことが考えられるかもしれませんし、股関節を屈曲させるための筋肉(腸腰筋)が低下しているための代償動作かもしれませんし、ハムストリングまたは臀部の筋肉の硬さが股関節の屈曲を邪魔しているかもしれません。

 

そのうちのどれが原因となっているかはわかりませんが、腰椎-骨盤が過度に屈曲してしまうと、お尻をうまく使うことができずに太ももの前側が疲労してしまうし、長時間パワーを維持することができません。それにより、腰や膝の痛みになるケースもあるため、腰椎-骨盤のスタビリティや股関節のモビリティを考えなくてはいけません。

 

これらは各個人のカラダを見てみないことには正答を言えませんが、根本には自身のフィジカルに上記のような問題があると考えているので、関節の機能に則ってアプローチすることで改善されていきます。

 

 

エアロフォームで考える

エアロフォームでは主に、肩関節・肩甲帯・腰椎-骨盤・股関節が機能します。今回はエアロフォームの中でも脊柱の動きにフォーカスして、例を上げていきます。

 

例えば、エアロフォームを実施する場合、前方投影面積を縮小させるために、上半身を折り曲げるよな動作をしますが、その時に関節は、胸椎(モビリティ関節)と腰椎-骨盤(スタビリティ関節)が関与してきます。

 

ロードレースでのTTや、トライアスロンでのバイクパートを見てみると、上記のように空気抵抗を減らそうと腰椎-骨盤を屈曲させている方の姿を多くみるのですが、ペダリングの項目でも説明した通り、それだと太ももの前側ばかりを使いすぎて、長時間パワーを維持することができません。そのため、エアロフォームを実施する時は、腰椎-骨盤をニュートラスにしつつ、胸椎を屈曲させる必要があります。

 

しかし、胸椎がうまく屈曲できないために、腰椎が屈曲してしまう方が多くいます。その場合は、上背部の筋肉が硬いから、あるいは胸椎を屈曲させる筋力が弱いことが考えられます。さらに言えば、胸椎を屈曲させるために関与する肩甲骨の外転動作が弱いことも考えられます。

 

こちらもペダリングと同じように、各個人のカラダを見てみないことには正答を言えないのですが、根本には自身のフィジカルに上記の問題があるので、関節の機能に則ってアプローチすることで改善されていきます。

 

 

一つの動作から起こるケースを考える

 

多くのサイクリストやトライアスリートが気にするペダリングやエアロフォームという2つのケースについて書きましたが、実際、これらは別々に起こっている訳ではありません。一度その二つを合わせて考えてみましょう。

 

ペダリングやエアロフォームで起こるエラー動作の公約数から紐解くと、「胸椎の動き(屈曲)が悪いために、代償動作として腰椎-骨盤が屈曲してしまえば、ペダリングでは太ももの前側しか使うことができていないために、腰や膝が痛くなるし、パフォーマンスが向上しない」ことも考えられます。

 

だからこそ、自転車を漕ぐためには下半身だけにフォーカスしたトレーニングだけでなく、バランスよく上半身もトレーニングする必要もあります。

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パフォーマンス向上のために、エンデュランストレーニング(パワートレーニングなど)だけでなく、自分のカラダに何が足りていないのかを今一度見つめ直してみてはいかがでしょうか?その際は、このJoint By Joint Approachを参考にしていただければと思います。(様々なケースがあるので、私の考えは参考程度にどうぞ)。

 

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