体幹トレーニングとコアトレーニングの違い

スポーツパフォーマンス向上のためのストレングス&コンディショニングを指導している私ですが、たまに「体幹トレーニング」または「コアトレーニング」やってるんですけれど、他にどんなトレーニングをした方がいいですか?と言われることがあります。質問していただくことに関しては何も問題はないのですが、具体的にどんなトレーニングをされているんですか?と聞くと、体幹トレーニングもコアトレーニングも、ほぼ同じようなトレーニング内容を表していました。

 

そこまで自身も深く考えていなかったのですが、もしかしたら体幹とコアの違いにおけるトレーニングについて、いつかどこかで誰かから聞かれるかもしれないなと感じたので、現段階で自身が導き出した答えを書き記したいと思います。

 

体幹とコアの違いとは?

 

まず、トレーニングを知る前に、体幹とコアという言葉に違いを明確にしなくてはいけないと思うのですが、残念ながら体幹にもコアにも明確な定義があるわけではありません。というのも、体幹トレーニングやコアトレーニングを提唱している専門家や各書物の著者によって、ニュアンスが変わっているからです。

 

しかし、さまざまな書物を読み合わせてみると、ニュアンスは違えど方向性的な部分は似ているところがあるので、それらをまとめてみました。

 

体幹とは「軸骨格(主に胸郭/胸椎-腰椎-骨盤)と軟部組織および筋」を表し、コアは「腰椎-骨盤帯(腹腔壁)と軟部組織および筋」を中心とした関節と筋肉で構成されています。つまり、体幹はコアを含んだ広義な定義となっていますが、共通している部分は、どちらも腰椎-骨盤が関与しているということです。

 

例えば、腕立て伏せや背筋のようなエクササイズが体幹トレーニングであり、腹筋などのエクササイズがコアトレーニングでもあり体幹トレーニングでもある、というような感じになりますが、各書物のトレーニングやメディアや雑誌が提唱する体幹・コアトレーニングの多くは、特にコア(腰椎-骨盤)に対するアイソメトリック(等尺性)収縮が多く、プランク(フロントブリッジ)やクランチ類を中心とした各種エクササイズが多いようにも思われます。

 

 

なぜ、これほどにまで体幹(主にコア)をアイソメトリック収縮させる種目が多いのでしょうか?それを知る上で、一つの理論がカギとなります。

 

体幹・コアを重要視する考え方

アメリカのMicheal BoyleというS&Cコーチが、Joint By Joint Approach(リンクはこちら)という理論を提唱しています。これの理論は「ヒトの関節は大きな動きをするのに適している関節(モビリティ/Mobility)と、大きな動きをサポートするために安定させる関節(スタビリティ/Stability)が交互にあり、モビリティ関節が力を発揮するためには、隣り合わせになっているスタビリティ関節がその機能を果たしていないといけない」というものです。

 

実際の関節の動きを一部解説すると、以下のように分類されます。

 

  • Ankle(足関節)…Mobility (sagittal)
  • Knee(膝関節)…Stability
  • Hip(股関節)…Mobility (multi-planar)
  • Lumbar Spine(腰椎)…Stability
  • Thoracic Spine(胸椎)–Mobility
  • Scapula(肩甲帯)–Stability
  • Gleno humeral(肩関節)–Mobility

 

 

この関節の機能をペダリングに例えて考えてみましょう。ペダルを踏み込むためには、股関節(モビリティ関節)を使います。この時、股関節に隣接する関節は腰椎(スタビリティ関節)となります。

 

腰椎が安定していない場合は、股関節はうまく機能せず、本来の力を発揮することができなくなることがあります。反対に、股関節がうまく機能しない場合は、腰椎が股関節の動き(屈曲・伸展など)の代わりをしようとして、腰を痛める可能性が出てきます(これを代償動作といいます)。

 

多くのスポーツでは下半身の爆発的なパワーが求められるため、その股関節が生み出すパワーをパフォーマンスに還元するためには、コア(腰椎-骨盤)が固まっていないとうまく力が発揮できないと考えられているため、多くの指導者は体幹・コアトレーニングを指導し、選手はそれを実行するのだと考えます。

 

多くのサイクリストやトライアスリートの方で、競技中に腰が痛いなどと感じる方がいたら、もしかしたら上記の理由が考えられるかもしれません。皆さんは、各関節の役割がうまく機能していますか?トレーニングをする場合は、このJoint By Joint Approachを元に、様々なエクササイズを実施してみるといいと思います。

 

 

体幹(コア)トレーニングだけでいいのか?

ここまで書くと「体幹(コア)トレーニングってやっぱりすげぇ!帰ったら腹筋、プランクやりまくろう!」なんて考えている人がいると思いますが、個人的には腹筋やプランクはトレーニングとは考えおらず、本来したい動き(スクワットなど)における正しい姿勢を作り出すための感覚を養うエクササイズ、というのが個人的な意見です。

 

プランクを□セット×◯◯秒または◯◯分というエクササイズをされる方が多いかもしれませんが、ある程度プランクができるようになったのならば、スクワットに移行した方がパフォーマンス向上に繋がりやすいので、トレーニングの効率や効果を考えてもスクワットをすることをオススメします。

 

 

余談

この話を書いている最中、フィットネスクラブに勤務している際、外国人の方にパーソナルトレーニングを依頼されたことを思い出しました。最初にカウンセリングをした時、どこを鍛えたいのか?と質問したら「スタマック(Stomach)…日本語訳/胃袋」と答えたのです…「内臓を鍛えるってどうやってやるんだよ…」と心に思った23歳の春を思い出しました。

 

しかし話を聞いてみると、どうやら胃ではなく、腹筋のことを表していたようです。腹筋を英語で表すとAbsとかAbdominalとかだと思っていたんですが、さまざまな表現があるのですね。もしかしたら、スタマックトレーニングとか、いつか流行る、わけないですね…でも、どこかの野球選手が賞味期限が切れるなどの傷んだものを食べてトレーニングだ、といっていたような…?

※ちなみに、最近体幹トレーニングの一種で風船膨らましているトレーニングが浮上してきたりしますが、個人的にはその理論を聞いたところで何がしたいのかさっぱりわかりませんでした。

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