フィットネスレベルを高めるためには、継続的にトレーニングをすることが大前提です。もちろん、その時におこなうトレーニングとしては、科学的根拠に基づいたものに取り組むことが一番ではありますが、ここで一つ疑問が…
「1週間のトレーニングの流れは、どうすればいいの?」ということです。一度、考えてみましょう。
例えば、ヒルクライムで少しでもタイムを縮めたいから毎日FTP強度のトレーニングをしてみると、タイムは縮むでしょうか?また、ロードレースやクリテリウムで勝ちたいから毎日HIIT(High Intencity Interval Training/例:タバタ・プロトコルなど)をしてみると、レースで勝てるようになるでしょうか?
答えは「NO」です。
確かに、ヒルクライムのタイムを決める要因はFTPに関係している部分がありますが、そのFTPの上限を伸ばすためにはFTPインターバルばかり実施していてもプラトー(停滞期)がやってきます。その場合は、有酸素能力の上限であるVo2max(最大酸素摂取量)を伸ばす必要が考えられますし。また、ロードレースやクリテリウムで勝ちを狙う場合には、ゴールスプリントもできないといけませんし、自分で逃げを展開するためにアタックを仕掛けたり、何度もアタックが掛かった状態から足を回復させるためのリピートアビリティ(反復能力)も手に入れる必要があります。
トレーニングは何か1つを集中して続けるだけでは、意外と目的目標を達成できません。今回は、トレーニングがより充実するように、1週間をどのような流れでトレーニングすればいいのかをお伝えしていきます。
トレーニングの1週間の流れ
残念ながらペリオダイゼーション(トレーニング計画)に関する論文は、決定的なものがありません。そのため、非常に多くのコーチが試行錯誤しながら考案してきた様々なトレーニング理論を参考ししつつ、自身の知識と指導してきた経験を合わせた時に「この流れだと比較的フィットネスレベルが伸びたな」という1週間のプログラムを説明したいと思います。
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今回紹介する内容は、一般的な社会人アスリートや学生レーサーなど「トレーニングの時間に制約のあるサイクリスト」にオススメしている1週間のトレーニングの流れは以下のとおりになります(60〜90分以内で終わるレースを主戦場とする場合は、非常に取り組みやすいと思います)。

内容という項目に書いてあるメニューは、イメージしやすいように参考程度で書かせていただきました。簡単にメニューの流れとその意図を説明します。
月曜日と金曜日は「休息日」にしています。日曜日にレースがある場合は、トレーニングの疲労を抜くために金曜日または土曜日に体を休めますし、レースの疲労を抜くために月曜日に休むことができます。そのため、レースやイベントがあっても、1週間の流れが極端に崩すことなくできます。
火曜日から木曜日は「ローラーでのトレーニング」をイメージしています。もちろん、実走ができればそれでもかまいませんが、社会人の方は平日に外でトレーニングをするというのも難しいと思うので、そうした環境に合わせて考えています。この3日間は自身の短所を克服するトレーニングまたは自身の長所を伸ばすトレーニングを実施するといいでしょう。ただし、偏りが出やすくなるため、それらは4週間ごとに入れ替えながら行うといいでしょう。
※短所・長所を判断する方法としてこのような方法があります。
土曜日と日曜日は「実走での練習」をイメージしています。ローラーだけではペダリングやエアロフォーム、ヒルクライムなどの感覚を手に入れるのが難しいので、実走にて練習します。誰かと走りに行くことができる場合は集団走行の習得や、自身ではかけきることができない高負荷のトレーニングを実施できるため、質の高いトレーニングを実施できるでしょう。
冒頭でも述べたように、同じような強度でトレーニングを行っていても伸び率が低いケースが多いため、全体的にバランス良くトレーニングをすることが大切になります。目的目標に則ったトレーニングのバリエーションを増やしながら、楽しんでトレーニングをしましょう。 また、今回のトレーニング時間は1週間のうちに最低でも6時間〜8時間30分確保できるのが前提となります。現在の自身のトレーニング時間を計算して、各曜日のトレーニング時間が局所的に多いあるいは少ないという状態になっている場合は、トレーニング時間をうまく振り分け、総合的なトレーニングの質を計りましょう(平日にトレーニングできないから休日の2日間を一気にトレーニングに費やす、というのは私的に言えばあまりフィットネスレベルが伸びないと思っています)。 「キツイと感じるトレーニングを実施していれば速くなれるんでしょ?」と考えている人も多く、HIITを推奨する人もいます。 「長い距離を乗れば速くなれるんでしょ?」と考えている人も多く、土日や休日を利用して一定ペースでロングライドを実施することを推奨する人もいます。 「自転車で健康になりたい、サイクリングを楽しみたい」という目的であるのならば何も言いませんが「ロードレースやクリテリウムで上位を目指したい」とか「ヒルクライムでタイムを縮めたい」という目的であるならば、それらのトレーニングだけでは成長しない可能性が多いということを伝えたいです(学生や社会人アスリートに対して)。 インターネットや周りにいるサイクリストの方から、さまざまな情報を得られる方も多いと思いますが、本当に目的目標を達成したいと考えているのならば、お近くの専門家に伺うのが一番有効だと思います。自転車機材を1つ買うよりも安く、一生の知識として使えるものが多いはずですから、一度聞いてみましょう。
トレーニングの偏り