ワークアウトを”ホームトレーナーで行う場合”に知っておくべきこと




前回、こちらのブログを書かせていただきました。

ワークアウトを"平坦で行うか"それとも"登坂で行うか"

2019.10.03

 

こちらのブログは、平坦で行うワークアウトと登坂で行うワークアウトの違いについて書かせていただいたものです。そのブログを書いている中で “ローラー台でのワークアウトはどうしたいいの?” という疑問を思い浮かべた方も多いと思いますので、前回の記事の則って、”ホームトレーナーでフィットネスを向上させるために知るべきこと、意識すべきこと”を書かせていただきます。

 

ホームトレーナーでのトレーニングはどうなのか?

 

まず初めに、“ホームトレーナーでのトレーニングはパフォーマンスは向上するのか?”と疑問を持つ方も多いかもしれないので、結論から伝えておきますと、適切にトレーニングを行うことで “パフォーマンスの向上には繋がる”とだけ、お伝えしておきます。ただ、このような歯切れの悪い表現になってしまうには、2つの理由があるためです。

 

と、その前に。

 

ホームトレーナーと総称しておりますが、どんなイメージを持っているかは人それぞれだと考えているので、まずは以下の4種類があることを復習しておきます。

 

  • 3本ローラー ( 3Roller : 3R )
  • ハイブリッドローラー ( Hybrid Roller )
  • タイヤドライブ( Tire Drive : TD )
  • ダイレクトドライブ( Direct Drive : DD )

 

ホームトレーナーとして、普段から3本ローラーやハイブリッドローラーなどを使用される方もいると思いますが、基本的にそれらは “強度を上げきることができません”。理由は、ドラム部分が慣性を得て回転するため、それ自体で負荷調整ができずに抜けてしまうためです(負荷付きのタイプは除く)。そのため、フィットネスの向上に重きをおく場合は、”タイヤドライブ”または”ダイレクトドライブ”を使用することをオススメしておりますので、今回は後者2つをトレーナーと称し、フィットネス向上のためのトレーニングについて説明させていただきます。※3RとHRが負荷付きの場合、フィットネス向上のトレーニングができるはず。

 

 

ホームトレーナーの特性を理解してトレーニングを組み立てる

 

トレーナーと実走では“指定強度が変わることがあります”

 

トレーナーでの運動強度は、相対的運動指数(心拍数)は同じでも絶対的運動指数(出力)が下がる傾向にあります。簡単に言うと20分走の絶対的運動指数を260-240wと定めた際に、実走(RT)では “160bpmで250w” を出せるのに、トレーナー(HT)では “160bpmで235w” しか出せないことがあると言うことです。こうした症状は、特にタイヤドライブ型のトレーナーによく起こりえる状態です。おそらく、タイヤと設置しているローラーの回転部分に、3本ローラーと同じような慣性が働くのでしょう。個人的な指導経験で言えば、5ー10%程度出力が低下しているようなことがあります。

 

この場合、ワークアウトをどのように行えばいいでしょうか?

 

一つは”相対的運動指数(心拍数)”で考える方法があります。20分走をおこなった際の心拍数が、RTとHTで揃っていれば問題ないと考えます。冒頭に述べたようなRT”160bpmで250w”とHT”160bpmで235w”では、運動生理学的に捉えると同じような効果があると考えられます。ただ、これでは不安になる方もいると思うので、もう一つ提案させていただきます。

 

もう一つは”絶対的運動指数(出力)”で考える方法もあります。まず、上記のようなズレが起きるのは“実走で測定したFTPからトレーニング強度を算出してワークアウトを行なった場合”です。このようなズレをなくして、ワークアウトを行える方法があります。それは“ホームトレーナーで測定したFTPからトレーニング強度を算出してワークアウトを行なった場合”です。この場合は5ー10%の調整をせず、算出した数値をそのまま使用してワークアウトを行えます。

 

そうなると、”実走で測定したFTPを指標にしたトレーニング(A)”と”ホームトレーナーで測定したFTPを指標にしたトレーニング(B)”、の絶対的運動指数が違うけれどいいのか?と聞かれることがあります。実際にやってみるとわかるのですが、問題ないと考えています。というのも、なぜだか上手いことに、運動強度が違っても意外とAとBの心拍数が揃うからです。そうは言っても、それだけでは納得いかない方もいると思うので”AとBの出力の違いが気になって仕方ない”という方は、無理やり腑に落とすために以下の方法を提案します。

 

L5(Vo2max領域)の向上を目指してワークアウトを行う場合

A … FTP 250w ( 265 – 300w / 3min )
B … FTP 235w ( 249 – 282w / 3min )

である場合、Aの下限値、Bの上限値である”265-282w”という強度にしておけば、どちらの条件にも当てはまるため、絶対的運動指数で考えても問題はないと考えられます。個人差もあると思うので、心拍数も確認しながら微調整してみましょう。

 

 

と、ここまではタイヤドライブ(TD)の説明してきましたが、スマートトレーナー(DD)でのトレーニングについて説明します。

 

今流行りのスマートトレーナーの場合は?

 

DDの場合、Zwiftなどのトレーニングアプリの中に、あらかじめトレーニングメニューを組み込んでおくことができます(私もZwiftを使ってフィットネスを楽しんでます)。すると“20minで250w” を確実に出すための負荷がかかり続けることができるできるため、正確な負荷の再現性が可能となっております(ケイデンスが60rpmでも90rpmでも250w掛け続けられます)。ただ、こうしたDDの中にも、TDと同様に少々負荷がズレるものもあります(パワーメーターを主軸として考えた場合)。

 

個人的な実験として、パワータップとSRMから測定したFTPを元に、ワークアウトを実施した場合、DDが算出した出力と比較してみると、DD側の出力の方が高く出るものがありました。計測した結果や、DDを使用されているクライアント様のデータと比較してみると、5-10%程度出力が向上しているケースが多いです。物によっては10-20%も向上しているものもあります(Zwift上でプロ選手よりも強く無双している人は)。

 

この場合もTDと同じように、心拍数から見る方法とDD自体でFTPを計測してトレーニングをすることをオススメしますが、DDを使用したワークアウトを実施する場合、個人的にオススメしておくことがあります。“ワークアウトをあらかじめ入力しておかないこと”です。というのは、過去のブログに書いた、以下のような方法でのトレーニングが現状できないものが多いからです。

 

パフォーマンスを"上げる"インターバルと"下げる"インターバル Part.2

2019.10.01

高強度インターバルの"入り方"を4つのパターンに分けてみた。

2019.09.27

 

このパートの冒頭にも述べたように、ケイデンスが変わってもギア比が変わっても、常に同一の出力がかかり続けるようになるため、ワークアウトをあらかじめ入力してトレーニングを行う場合、物によってはこの2つのブログのようなことができないことがあります。仮にこの2つのブログで紹介したような方法が、自身に必要とされる能力を向上させる場合は、”メニューを入力せずにそのまま行う”か、改善点として”これをするとこれぐらい出るだろう”とあらかじめ出力を予測してメニューをインプットしておくことをオススメします。

 

 

と、ここまで書きましたが、結論を言えば”指標が定まっていればトレーニング効果は得られる”ため、HTとRTでのトレーニングにおける指標は異なることが多くあるため、気になる方はHTでのFTP、RTでのFTPを測定して、それぞれでトレーニングを行うといいでしょう。個人的に、指導している立場としては”向上させたいフィットネスを伸ばすための刺激を与えることができばOK”と考えるため、細かすぎることは気にしないです。それを気にするぐらいなら、休息に当てたりストレングストレーニングに当てるなど、別のことをします。

 

ご自身のトレーニングの参考にどうぞ。

 

フィットネスは向上するが、スキルが向上しない

 

パフォーマンスという言葉で何をイメージするか?にもよりますが、多くの人は”より速く走行すること”を意識するでしょう。トレーナーでのトレーニングは、主にフィットネスを向上させることが目標となります。その中には“エアロフォームの習得“や“実走で必要なスキル”が伴っていないことが多いので、”各領域の出力は向上したけれど、速く走れるようになった気がしない”という方もちらほらとお聞きします。おそらく、そういうことでしょう。

 

向上したフィットネスに対して最適なスキルがあるはずですから、結局は実走での練習を繰り返し、フィットネスにアジャストしたスキルを習得する必要があるのでトレーナーばかりでのトレーニングはあまりオススメしません。もちろん、元から相当なスキルを持っていれば別の話ですが、スキルの有無を判断する基準がないので、どんな方もトレーナーと実走の割合を意識すべきかと思います。

 

個人的な意見で言えば、ホームトレーナーでのトレーニング(Home Training : HT)と実走でのトレーニング(Road Training : RT)の割合がHT < RT と条件付けた中で、個人の仕事・生活環境を判断して割合を変えていくことが、総合的にパフォーマンスを向上させるのではないでしょうか。

 

今回は、フィットネスだけでなく、スキルという面を考慮した、広域で捉えた”パフォーマンス”という言葉で説明いたしましたが、”レースやイベントに順位や記録を求めることなく、健康のためのトレーニング”として捉えた場合は、ホームトレーナーだけでもいいのかなと思います。が、せっかく風を感じれる素敵な乗り物を外で乗らないというのもどこか悲しいので、実走でもフィットネスを楽しんで欲しいと思います。

 

次はいよいよ、”ケイデンス” vs “トルク” について書こうと思いますが…少々時間がかかりそうなので、間にちょくちょく小ネタでも挟みながらブログを書いていきます。気長にお待ちください。

 

余談

海外では3本ローラーのことを”ローラー”、タイヤドライブ型のものを”トレーナー”と言っており、これらを総称すると”ホームトレーナー”らしいです。今回はそれを基準にお話しさせていただきました。




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